イナゴ投資家いっちんが今の情勢から上がる株、下がる株を予想します。
まずは今週のマクロ材料から見ていきましょう
今週のマクロ材料から見ていきましょう。
地合いはまず悪くありません。日経平均は9/25の終値で66,364円、200日線(59,881円)を1割以上も上回る上昇トレンドの真ん中にいます。S&P500も7,743と200日線の上。順張りが機能する地合いは、まだ続いていると見ています📈
ただし今週は、9/28(月)が9月配当の権利付き最終日、9/29(火)が配当落ち日です。海運・商社・損保・資源といった高配当の銘柄は、火曜の朝に配当分だけ理論的に安く始まる——ここは覚えておきたい癖ですね。週後半は10/1(木)の日銀短観と米ISM製造業、10/2(金)の米雇用統計が控えます。
そして今週、私がいちばん腰を据えて考えたいのが「スーパーエルニーニョ」です。
気象庁の監視速報によれば、8月のエルニーニョ監視海域の海面水温は基準値より3.4℃も高く、あの1997年(+3.0℃)を上回る8月としての過去最高。米NOAAは秋冬に「very strong」となる確率を90%超、10〜12月に1950年以降で史上最強となる確率を75%と見ています。ピークは11月から来年1月、春まで続く見通しです。
これは「異常気象のニュースが増えるね」で終わる話ではありません。すでに市場は動いています。ココアは2月から7割超上昇、タイ米は過去最高値圏。パナマ運河は水不足で9/3から喫水47.5フィートに制限され、船社がアジア〜米東岸でサーチャージを取り始めました。そして大西洋のハリケーンは、9月下旬になっても一つも発生していない——衛星観測時代で最も遅い記録です👀
日本の天候も整理しておきます。夏は冷夏ではなく猛暑でした。気象庁の9/18の寒候期予報は全国的な暖冬。ただ、日本海の海水温が高いぶん、寒気が入ったときの日本海側のドカ雪と、南岸低気圧のリスクは残ります。
一つだけ、専門家の見立てで頭に入れておきたい数字があります。農産物の減産は気候のピークから6〜12か月遅れて表に出る。野村の分析でも、物価経由の影響は1年半ほど遅れる。つまり、この現象には「いま効く話」と「2027年に効く話」の二つの時間軸がある——ここが今回の連想の背骨になります。
気になったニュースをいくつか
- 日本気象協会 tenki.jp
エルニーニョ現象は冬にかけて続く 基準値との差が大 9月9日発表 最新の監視速報
気象庁の9月の監視速報。8月の監視海域の海面水温は基準値+3.4℃で、8月としては1949年以降で最も高かった1997年の+3.0℃を上回った。エルニーニョは冬にかけて続く見通し。私が今回の連想の起点に据えた一次情報です。
元記事を読む - NOAA 気候予測センター
ENSO Diagnostic Discussion(2026年9月)
米NOAAはエルニーニョ注意報を継続し、秋冬に「very strong」となる確率を90%超、10〜12月に1950年以降で史上最強級(3か月平均+2.5℃以上)となる確率を75%と評価。22のモデルすべてが秋から冬にかけて「very strong」を予測しているのが印象的でした。
元記事を読む - フロリダ州立大学(FSU News)
FSU expert explains El Niño's role in quiet 2026 Atlantic hurricane season
2026年の大西洋ハリケーンシーズンは9月下旬時点でハリケーンがゼロ。エルニーニョが生む強い風のせん断が嵐の発達を抑えている、との専門家解説。米損保・再保険の第3四半期には、静かな追い風になると私は読んでいます。
元記事を読む - Nautilus Shipping
Panama Canal Draft Restrictions 2026: What Shipowners Need to Know
パナマ運河庁は水不足を見越して喫水制限を段階的に強化し、9/3からは47.5フィート。船は荷を軽くして通るしかなく、トンあたりの輸送コストが上がる。大手船社がアジア〜米東岸でサーチャージを導入しており、航路の長期化はLNG船・コンテナ船のトンマイル需要を押し上げます。
元記事を読む
今週の重要日程(指標・決算・IPO)
その週に何が起きるかで、動くか休むかが変わります。私が気にしている予定はこのあたりです。
- 9/28(月)イベント9月配当の権利付き最終日(海運・商社・損保など高配当株)
- 9/29(火)指標配当落ち日 / 米JOLTS求人・消費者信頼感
- 10/1(木)指標日銀短観 / 米ISM製造業景況指数
- 10/2(金)指標米雇用統計(9月分)
- 10/8(木)イベント米NOAA エルニーニョ(ENSO)月次更新
- 10月上旬イベント気象庁 エルニーニョ監視速報(毎月10日前後)
- 10月上中旬決算ファーストリテイリング 本決算(暖冬見通しのコメントに注目)
- 10月中旬〜下旬決算米損保Q3決算(プログレッシブ、トラベラーズ、オールステート)
- 11月上旬決算商船三井・日本郵船・丸紅・三井物産・ダイキン 第2四半期決算
- 11/30イベント大西洋ハリケーンシーズン終了
ここからお金の流れを連想してみます
さて、ここからが連想の本番です。
相場のお金は消えてなくなりません。どこかから逃げたお金は、必ず別のどこかへ流れ込む——その逃げ場と行き場を追うのが、この連想ゲームです💰
今回の起点は「史上最強級のエルニーニョが、もう起きている」という事実。ここで大事なのは、影響が二段階でやってくることです。
一段目は、いま目の前で起きていること。パナマ運河が細くなって船の航路が伸びる。ブラジルや東南アジアで水力発電が細って、代わりにLNGを燃やす。米国では暖冬予想でガスが安くなり、アジアのLNGは高いまま。そして大西洋の嵐が来ない。ここでお金が向かう先は、海運・LNG・米損保です。逆に逃げていく先は、暖冬で需要を失う米国のガス生産者や、日本の冬物小売・ガス会社ですね。
二段目は、半年から1年遅れてやってくる食料インフレ。東南アジアの干ばつ、インドの少雨、西アフリカのカカオ、ベトナムのロブスタ——減産は収穫期を過ぎて初めて数字になります。そのときお金は、値上がりする穀物を右から左へ動かす商社、減収でも施肥を省けない肥料、害虫が増えて売れる農薬へと向かう。逆に、ココアやコーヒーや飼料を「買う側」の食品メーカーは、利益率を削られます。
ここで、いっちん流のもう一段深い読みを一つ。日本株全体への影響は、野村の試算では「ほぼ中立」です。農業や水力発電への依存度が低いから。だから今回は日経平均をどうこう言う話ではなく、セクターの相対戦——資金が「どこからどこへ」動くかの勝負だと私は見ています🤔
以下、3つのレンズで連想を分解してみます。
金融覇権
金利・財政
AI・半導体
まずはアメリカ株の見立て
日本株はアメリカ株の値動きに大きく左右されます。そこで、親であるアメリカ株から見ていきます。
上がりそうな米国テーマ・銘柄
米損保・再保険(ハリケーンが来ない第3四半期)
9月下旬時点で大西洋のハリケーンはゼロ。10月中旬から出るQ3決算では自然災害損失が軽くなる公算が高い。個人向け保険の料率軟化で直近は売られており、株価はむしろ安い位置にあります。
- PGRプログレッシブ売られすぎ圏(RSI30台)からの反発とQ3の軽いキャット損失
- ALLオールステート20日で1割超下げRSI28。200日線で踏みとどまれば反発余地
- TRVトラベラーズ上昇トレンド継続。384ドルの戻り高値抜けが次の合図
- RNRルネサンス・リー再保険はハードマーケットの保険料が嵐不発でそのまま利益に
LNG・海運(パナマ運河と水力不足)
米国産ガスは暖冬で安く、アジアのLNGは水力不足で高い。この価格差を輸出で取れる構造と、航路の長期化による船腹のタイト化が同時に起きています。
- LNGシェニエール・エナジー安い米国ガスを高いアジアへ。260ドル台の押し目は拾いたい水準
- ZIMZIMインテグレーテッドスポット依存の船隊でサーチャージが利益に直結。値動きは荒い
- FLNGフレックスLNGLNG船の用船料に直接露出。高配当で下値も比較的堅い
農業資材・穀物商社(2027年の本命)
減産が数字になるのは2027年。いま決算に出ていないからこそ、押し目で仕込む時間があると見ています。9月中旬の高値から1〜2割下げた銘柄が多いのも好都合です。
- CFCFインダストリーズ窒素肥料は施肥を省けない。原料の米国ガス安で二重の恩恵。110〜116ドルの200日線圏が狙い目
- CTVAコルテバ減収が種子と作物保護の需要を押し上げる。200日線ちょうどの78ドル台
- BGバンジ・グローバル地域間の歪みが穀物商社の裁定利益になる。Viterra統合で規模最大
- LNNリンゼイ灌漑設備は穀物高の2〜3四半期後に受注が来る。2027年の受注が本命
下がりそうな米国テーマ・銘柄
米国産ガス生産者(暖冬で需要減)
エルニーニョの冬は米北部が暖かい。暖房需要が落ちればヘンリーハブは重く、ガス専業の生産者には逆風。直近は反発シグナルも出ているので、戻りを待って売る形が自然だと見ています。
- EQTEQT200日線を下回る下降トレンド。53〜56ドルへの戻りは売り場
- RRCレンジ・リソーシズ暖冬予報が強まるほど重い
- ARアンテロ・リソーシズガス比率が高く暖冬の直撃を受ける
原料高を被る食品・食肉(ココア・飼料)
ココアは2月から7割超上昇、飼料も上がる。価格転嫁が追いつかない企業は利益率を削られます。ただし株価はすでに大きく下げており、52週安値付近での新規売りは追いかけすぎに注意したいところです。
- HSYハーシーココア高の直撃。52週高値から3割下、175ドル台への戻りは重い
- TSNタイソン・フーズ飼料コスト増。52週安値を割れば下値追い
- PPCピルグリムズ・プライド同じく飼料高。直近は売られすぎで反発シグナル点灯、売りは戻り待ち
そして日本株の注目テーマ・銘柄
その流れを受けて、私が今週注目する日本株のテーマと銘柄がこちらです。まずは資金が集まりそうな「上がりそうなテーマ」から見ていきます。
上がりそうなテーマ・銘柄
海運(パナマ運河・LNG船・トンマイル増)
航路が伸びれば同じ荷物を運ぶのに船が余計に要る。世界最大級のLNG船隊とONE(コンテナ)を持つ大手2社は、この構造の恩恵を最も素直に受けます。9/17に戻り高値ブレイクの合図が出て上昇トレンドの中。
損保(米国子会社の追い風)
日本の損保で米国事業が最も大きいのが東京海上。ハリケーン不発は米子会社の第3四半期にそのまま効きます。日本の台風大型化リスクは残るものの、地合いも上昇トレンドで順張りが効きやすい。
- 8766東京海上ホールディングス9/17に戻り高値ブレイク。8,137円抜けで順張り、25日線7,800円前後は押し目
LNG・エネルギー権益(アジアのLNG高)
水力不足のブラジル・東南アジアがガス火力に頼れば、アジアのLNGスポットは冬に向けて高止まり。LNG権益を持つ企業の第3四半期以降に効いてきます。
農薬・農業資材・穀物商社(2027年に効く本命)
高温多湿は害虫と病害を増やし、減収は肥料と農薬の需要を押し上げる。決算に出るのは2027年なので、いまは押し目を分割で拾う時間帯だと私は見ています。
- 4997日本農薬インド・ブラジルで殺虫剤。上昇トレンドで1,326円の年初来高値抜けが合図
- 4996クミアイ化学工業除草剤アクシーブが米・ブラジル大豆で主力。RSI32の売られすぎ、644円の安値を守れるかを確認してから
- 8002丸紅米ヘレナ(農業資材)とコロンビア・グレイン。200日線割れの逆張りゾーン4,830〜4,900円
空調・銅・コメ(テーマの脇役たち)
インド・東南アジアの熱波で空調、南米の豪雨で銅、国内の猛暑でコメ。それぞれ主役は別の材料ですが、エルニーニョが追加の一押しになる銘柄です。
- 6367ダイキン工業200日線(21,400円)回復を確認してから。9/16に売られすぎからの反発シグナル
- 5713住友金属鉱山銅価格上振れの受益。20日で15%調整、200日線8,800円台が押し目の目安
- 2700木徳神糧コメ卸。高値から7割下げた後の安値圏。コメ価格ニュースの日に出来高を伴う1,885円抜けだけを狙う短期テーマ株
下がりそうなテーマ・銘柄
原料高を被る食品(ココア・コーヒー・飼料)
ココア7割高、ロブスタ高、飼料高。転嫁が追いつかない企業の利益率は削られます。ただし不二製油・明治は株価が上昇トレンドで市場は転嫁を織り込み中。逆らって売るより「買わない」で十分だと見ています。
- 2607不二製油グループ本社ココア・パーム油の直撃。上昇トレンド中なので25日線4,520円割れを待つ
- 2269明治ホールディングスチョコレートのココア高。4,206円のBB下限割れが崩れの合図
- 2594キーコーヒーロブスタ高。200日線1,986円に乗った状態、割れれば1,904円の安値へ
- 2282日本ハム飼料コスト。下降トレンドで25日線6,250円への戻りは重い
暖冬で冬物が売れない小売・ガス・レジャー
気象庁の予報は全国的な暖冬。ヒートテック、冬物衣料、暖房用ガス、スキー場——12月から2月の需要が削られる商売は、年末にかけて「暖冬」の見出しが出るたびに重くなりやすい。
- 9983ファーストリテイリング高値から2割下。10月の本決算で暖冬コメントが出れば69,900円の200日線が天井に
- 8227しまむら冬物比率が高い。3,116円の安値割れで下値追い、毎月初の月次が試金石
- 9531東京ガス暖房用ガス販売量の減少。200日線(6,590円)を下回る
- 6040日本スキー場開発暖冬・小雪の直撃。428円の安値が防衛線
私の見立て
私なら、この相場を「二枚の時計」で持ちます。
一枚目は第4四半期の時計。海運(商船三井・日本郵船)、東京海上、米国ならプログレッシブやシェニエールは、10月中旬から11月上旬の決算で答えが出るテーマです。順張りの合図はすでに出ているので、火曜の配当落ちで安く始まる朝を待って、25日線あたりの押し目を拾い、決算で確定させて利益を取る——そこまでで一区切りにしたいですね。
二枚目は2027年の時計。CFインダストリーズ、コルテバ、日本農薬、クミアイ化学、丸紅。こちらはまだ決算に何も出ていません。だから9月中旬の高値から1〜2割下げた今のうちに、200日線の周りで分割して仕込む。急がない。半年寝かせるつもりで、私は考えています😉
売りの側は、じつは慎重です。不二製油や明治は上昇トレンドの真ん中、米ガス株や食肉株には反発シグナルが点いている。逆らって売るより「買わない」で十分——空売りは、25日線への戻りが失敗するのを見てから、というのが私の性分です。
そして、これは正直に書いておきますが、この材料は5月から株探やBloombergで特集が組まれ、多くの銘柄がすでに一度走っています。だから私が見ているのは「上がったか」ではなく「まだ業績に出ていないか」。木徳神糧のように高値から7割下げた銘柄は、ニュースの日だけ付き合う短期の遊び、と割り切っています🫡
頭と尻尾はくれてやる。気象という、誰にもコントロールできない相手と付き合うときこそ、ルールを決めて淡々と、ですね🔥
最後に、リスクと注意点
この連想が外れる条件は、はっきりしています。
一つ目は、エルニーニョが予測ほど強まらないこと。NOAAの10/8の月次更新で確率が下がれば、農業資材の連想は一段冷めます。二つ目は、ハリケーンシーズンの残り。大西洋の活動の4割は9月第3週以降で、11/30までに一つでも大型の上陸があれば、損保の追い風は一夜で逆風に変わります📉
三つ目は「もう織り込んだ」問題。5〜6月から話題のテーマで、海運や肥料は一度大きく上げた後の調整局面にあります。CFインダストリーズが9月中旬の高値から2割下げているのは、その証拠でもある・・・押し目のつもりが、崖の途中ということも十分あり得ます。
そして日本株全体としては、この材料は「ほぼ中立」。日経平均が上昇トレンドを崩せば、テーマがどうであれ連れ安は避けられません。10/2の米雇用統計と、11月の日米決算をまたぐ前提で、サイズは小さく、損切りは機械的に——そこだけは、私は譲らないつもりです。